個人商店なので東京の本部への上納金はありません。土地代や光熱費などの固定費は、そのほとんどが地元に残る貨幣となります。人件費も同じく地元に残ります。オーナーの所得も地元に残ります。
こうした店の場合、売上のほとんどが地元に残ることがわかります。地元に残る貨幣が8割だとすると、月の売上が330万円の地域貢献型の個人店は、そのうちの264万円を地域に残すことができるわけです。全国チェーン店に比べると売上が3分の1にもかかわらず、地域に残る貨幣は全国チェーン店よりも多いことになります。
そんな地元貢献型の個人店が、地域に3店舗誕生したとしましょう。それぞれ若者が始めたカフェ、雑貨屋、ヘアサロンだとします。いずれも地元経済をかなり意識した店で、売上の8割を地域に残します。 3店舗合計で 1000万円の売上なので、規模としては全国チェーンのコンビニ1店舗と同じくらいです。しかし、地域に残る貨幣規模は、コンビニが約200万円なのに比べて3店舗は合計で約800万円です。
お金が地元に落ちると
人も仕事も潤い出す
地域に残った約800万円は、それを手にした人によって使われることになります。そのとき、みなさんがなるべく地域貢献型の個人店で使うようにすれば、さらにその8割が地域に残ることになるわけです。
つまり約640万円が、次に地域の誰かによって使うことができる貨幣になります。これを繰り返していくと、地域で貨幣が循環し、同じ貨幣が何度も使われることになり、そのたびに人々の仕事が報われることになります。
だからワークショップで「コンビニを誘致しよう!」という発言があると、「じっくり考えてみませんか?」と言いたくなるのです。
コンビニだけではありません。それが全国チェーンのハンバーガー屋さんでも、牛丼屋さんでも、カフェでも同じことです。それよりは地元に住む人がレストランやカフェを開業しやすい条件を整えたいと思うのです。ワークショップメンバーで開業を応援し、なるべくその店を使うようにしたいのです(注3)。