運賃改定における重要テーマは
「次世代の新宿線」の沿線価値向上
運賃制度は収入を鉄道運行に必要な費用に、配当などを加えた総括原価以内に収める総括原価方式を採用している。申請資料によれば、2026年度から2028年度の原価見通しが平均約1134億円に対し、現行運賃では収入が約1030億円のところ、改定後は約1109億円になる想定だ。
運賃改定における重要テーマの第一に挙げられているのが「次世代の新宿線に向けた沿線価値向上」だ。新宿線では現在、中井~野方駅間2.4キロの地下化、東村山駅付近4.5キロ、井荻~西武柳沢駅間5.1キロの高架化工事を進めており、野方~井荻間についても事業化に向けて準備中だ。
東村山駅付近では6月29日に新宿線下り線を高架切替するが、完成は2029年度の予定。中井~野方駅間は2027年度、井荻~西武柳沢駅間は2038年度の完成予定とまだまだ時間はかかるが、40カ所以上の踏切除却による安全性向上、地域の分断解消が図られるだけでなく、高架下や地上部の一体的なまちづくりが期待される。
また、新宿線はJR東日本、小田急、京王などの新宿駅から500メートルほど離れた西武新宿駅をターミナルとしているが、両駅の乗り換え利便性を向上するため、新宿サブナードとメトロプロムナードを最短距離で直結する新たな地下通路の整備を計画中だ。
運行形態も見直される。新宿線は現在、10000系特急型車両「レッドアロー」を用いた特急「小江戸」を運行しているが、同じく10000系車両を運行していた池袋線は、2019年から2020年にかけて新型車両001系「Laview」に置き換えられた。
新宿線の車両も更新時期を迎えているが、2026年に運行開始予定の新型車両はライナー型車両となり、停車駅なども変更される。西武はロングシートとクロスシートを切り替え可能な40000系車両を用いた池袋線「S-TRAIN」、拝島線「拝島ライナー」を運行している。新宿線にも同系列が導入されるかは不明だが、運行の合理化を前提とすれば同様の座席転換型車両になるだろう。