「この本のおかげで出世できた」「チームのパフォーマンスが上がった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。今回は、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「お手すきのとき」は、本当に余裕があるときに聞いていいのか?
部下や同僚から「お手すきのときでいいので」と頼まれたとき、多くの人は「じゃああとで」と流しがちです。
しかし、この一言をどう受け止めるかで、その後の信頼関係に差が生まれます。
「お手すきのとき」とは、本当に“急ぎではない”という意味なのか。
それとも、“言いにくさをやわらげるための前置き”なのか。
上司に求められるのは、その裏の意図を読み取り、適切に対応する力です。
表面の言葉より「事実」に注目する
部下が「お手すきのときでいいので…」と控えめに言う背景には、次のような心理が隠れていることがあります。
・忙しそうだから、遠慮している
・過去に断られた経験がある
・相談内容に自信がなく、不安を抱えている
このようなときに「またあとで」と機械的に返してしまうと、相手は“気遣いを無視された”と感じる可能性があります。
上司としての適切な返し方は、ちゃんと事実を確かめる態度です。
頭のいい管理職はこう返す
たとえば、こんなふうに返すのが有効です。
「うん、大丈夫だよ。今このあと10分空くから、話せる?」
「区切りのいいところで話しかけるから、何時までに必要そう?」
「あとででもいいんだけど、本当は急ぎそう? 先にちょっとだけ聞いておこうか?」
これらの返答には共通点があります。
それは、「時間」と「優先度」の確認を同時に行っていることです。
相手に「聞く姿勢」を見せつつ、実際の対応タイミングを丁寧に決めていくことで、信頼が積み上がっていきます。
大事なのは、こちらが忙しいかどうかではありません。
「相手が今、この相談をするためにどれだけ勇気を出しているか」
それを感じ取る感度と判断の切り替えが、上司としての差になります。
忙しいときほど、無意識に相手の話を後回しにしがちですが、そこで“仮面”をかぶることが必要です。
感情を脇に置き、仮面をかぶって受け止める
上司が疲れていたとしても、機嫌が悪くても、相手には関係ありません。
求められているのは、「その瞬間の反応が、その人の印象を決める」という事実に自覚的であることです。
感情に流されそうになったら、仮面をかぶりましょう。
その一瞬の対応が、後の信頼とパフォーマンスに大きく影響します。
(本稿は、『リーダーの仮面』の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計170万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。