カップにそそがれるコーヒー写真はイメージです Photo:PIXTA

意識を覚醒させるため、眠いときや元気がないときにコーヒーやエナジードリンクに頼る人は多い。しかし、飲むタイミングを誤ったり過剰摂取したりすると、時にとんでもないことになってしまう可能性があるのだという。東大教授がカフェインの危険な側面を解説する。※本稿は、坪井貴司、寺田 新『よく聞く健康知識、どうなってるの?』(東京大学出版会)の一部を抜粋・編集したものです。

コーヒーやエナジードリンク
風邪薬にも含まれているカフェイン

 コーヒーやお茶、お酒、そしてたばこは、世界の三大嗜好(しこう)品と呼ばれます。古くから、コーヒーやお茶の摂取によって、眠気がおさまったり、集中力が高まったりすることは経験的に知られていました。

 そのため、コーヒーやお茶に関する研究の多くは、主な成分であるカフェインの睡眠や覚醒、記憶力や運動能力への影響などについて焦点が当てられていました。

 カフェインは、ドイツの化学者ルンゲによってコーヒーから単離されました。ちなみにコーヒーの有効成分を抽出してみるようにルンゲに進言したのは、ドイツの詩人ゲーテだったともいわれています。

 カフェインは、コーヒー豆以外に茶葉(緑茶、ウーロン茶、紅茶)やカカオ豆に含まれています。

 またカフェインは苦いため、風味付けの食品添加物とともにエナジードリンクや栄養ドリンクに添加されています。さらに、風邪薬や酔い止め、頭痛薬や鎮咳去痰薬(咳を鎮め痰を喉から排出しやすくする薬)にも配合され、医薬品としても用いられています。