
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第67回(2025年7月1日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
スタッフすごい!注目はたばこと埃
のぶ(今田美桜)が入社した高知新報では夕刊発行を申請することになった。戦時中は言論統制があり、新聞の発行も限定されていたが、言論の自由が推奨されるようになったのだ。その編集長に東海林(津田健次郎)が抜擢された。人員は3人。
東海林は岩清水(倉悠貴)とのぶを誘う。のぶは栄えある夕刊編集部員となる。ただ、申請が通ればだが。
早速夕刊の準備を始めた東海林たちに専門の記者たちの風当たりは強い。東海林は社内引越しを考える。
物置のようになっていた部屋を片付け始めるのぶたち。編集部内はスモークがかかっていてたばこの煙を想像させるが、物置のような部屋は埃で曇っている。たばこと埃、曇り具合を変えているスタッフのお仕事に注目したい。
掃除中、東海林は口だけ張り切っていて、手を動かさない。掃除を全て岩清水とのぶに任せている。ちゃっかりしているが、その後、実は悩んでいたことがわかる。戦前と戦後で全く言っていることが違っていることに罪悪感を持っていた。