ラジオから聞こえるのど自慢「リンゴの唄」、美空ひばりのオマージュ?

雑誌を眺める嵩の姿に、どこからか「リンゴの唄」が流れてくる。ラジオ中継で、のど自慢番組が流れているのだ。女の子が歌っている「リンゴの唄」はなかなかの巧さだ。
同じころ、朝田家でもラジオで、健太郎が言う「のど自慢なんとか」がかかって、同じように「リンゴの唄」をくら(浅田美代子)が聞いている。
昔ならではの意匠といえば、ラジオ。木製で角がアールになっているラジオ。朝田家のそれはもうずいぶん長いこと使われている。そこから流れる唄にメイコ(原菜乃華)が興味深そうな顔で耳を傾けている。その時の瞳の輝きが何かありそうと物語っている。
「リンゴの唄」は昭和20年10月に公開された映画『そよかぜ』の主題歌で、並木路子と霧島昇が歌って大ヒットした。この映画は戦後映画の第一弾だった。
NHKでは「のど自慢なんとか」こと「のど自慢素人音楽会」という番組を1946年1月から始めていた(ちょうどのぶが入社した時期)。「NHKのど自慢」の前身である。
昭和を代表する歌手・美空ひばりが9歳の時参加して、「リンゴの唄」を歌った説がある。「悲しき竹笛」説も。
そしてこれは46年の12月だとか。子どもにしては大人びているとの理不尽な理由で不合格になったとは、NHK的に黒歴史であろう。ドラマで嵩やくらやメイコが聞いた歌はもしや、美空ひばりのオマージュかもしれない。もしかしてメイコが美空ひばりのような歌手になる伏線かもしれない。夢が広がる後半戦。