新しい時代の素材が広まった時のシンボルみたいな感じだったと思うんですよね。白いケロリン桶の時期は短くて、最初から黄色いイメージですね。黄色って目立つんですよ。しかも薬品のイメージもあるからピッタリでしょう?
桶に書かれているケロリンの文字にも秘密があって。実は、浴室で使用しても消えないように、黄色いプラスチックの樹脂の中に特別なインクをしみこませる方法が開発されているんです。
当時、東京駅前に「東京温泉」という人気温泉があって、そこに置かれたケロリン桶は話題になりました。ケロリンの桶は銭湯以外にも、温泉やゴルフ場とかにも置かれたんです。とても広告効果があったと思います。
ケロリン桶を集めるようになって、もう30年以上経ちます。今はロフトでもハンズでも新品のケロリン桶を売っていますが、僕は廃業する銭湯から譲り受けることが多いですね。

薬のケロリンについては昔から桶で文字を見ていましたが、銭湯巡りを始めたころ、あらためて薬局で見て「パッケージのデザインがすごいな」と思って調べていくようになったんです。
なぜ売れたかというと“粉末”だったからでしょうね。
昭和のはじめ、それまでの鎮痛剤ってみんな液体で持ち運びに不便なんです。そこに粉末のケロリンが出てきたんです。ネーミングもいいでしょう。ケロッと治るからケロリン。偽物もいっぱい出るくらいに人気が出ました。

ケロリンはパッケージのデザインはあまり変わっていませんが、中身は一部の成分が変わってるんですよ。中身が時代によって微妙に変わるのは、ラーメンやチョコレートのロングセラー商品と同じですよね。