上司の側が、ちゃんとした面談スキルを習得し、こうしたルールを徹底しなければ、1on1面談は形骸化してしまい、機能しなくなってしまうと考えています。
遠慮がちな部下たちに
上司から伝えたいこと
最後、(5)に関して、補足させていただきます。
相談することに心理的な抵抗のある人は、「相手に迷惑をかけてしまう」という思い、つまり、忙しそうにしている先輩や上司の手を止めてしまい、大切な時間を奪ってしまうことに対する罪悪感のようなものがあるのではないでしょうか。
拒絶されたらどうしよう、冷たくあしらわれてしまったらどうしようという恐怖心を抱いている人もいるかもしれません。
このような人たちに知っておいてほしいことがあります。
私は、研修や打ち合わせのとき、先輩社員や上司と言われる人たち、そして採用に携わった総務・人事の担当者に必ず質問するようにしています。
「後輩や部下、採用を担当した若手社員に頼られて迷惑ですか?」
たいてい即答で「迷惑ではありません、むしろ嬉しいです」という答えが返ってきます。
私自身、もう20年以上も前のことですが、大学受験専門の小さな英語塾を開いていた時期がありました。今でも当時の生徒から連絡が来ると、ものすごく嬉しいです。どんなに忙しいときであっても、全く迷惑だなんて思いません。

もちろん例外的な人もいるとは思いますが、大半の人が、頼られると迷惑どころか嬉しくなります。
その理由は、人には「承認欲求」というものがあるからです。
頼られているということは、頼りがいのある先輩や上司、または採用担当者として認められているということであり、この「承認欲求」が満たされる場面なのです。
このように、心理学の観点からも、「頼られることは迷惑ではない(それどころか、むしろ嬉しい)」ということの説明がつくのです。
頼ることに心理的な抵抗がある人は、このことを知っているだけでも、相談することのハードルは下がるはずです。