これでは、せっかくの1on1面談が双方にとって時間のムダになってしまいます。

 この部分を解決するために内田さんに研修をお願いしたわけです。

 まず、ベーシック編の研修をまる1日受講してもらい、ある程度の実践的な経験を積んでもらってから、半年後くらいを目安にして、アドバンス編の半日研修を2回受講してもらいました。合計するとまる2日間の研修を約300名のラインマネージャーに受講してもらいました。

 多忙を極めるマネージャーに、ベーシック編とアドバンス編という形で計3回に分けて、まる2日の研修を実施したわけですから、当然、いくら何でも研修のやりすぎだと反発があったのは事実です。

 ただ、会社側の覚悟を知ってもらうためにも、そしてちゃんとした面談スキルを身につけてもらうためにも、必要であったと自信を持って言えます。

 そして、これは(1)にも関連することなのですが、いつでもアクセスできるように、1on1面談に特化したガイドラインを作成し、社内ポータルに掲載しました。

 そこには、この制度を取り入れる経緯や趣旨、他の面談との違い、実施に当たっての注意点などを詳しく掲載しています。今後も内容を適宜更新し、より充実させていくつもりです。

 もちろん、これで十分とは思っていませんので、内田さんの研修実施前に、ベーシック編の時は30分、アドバンス編の時は15分ほど時間をいただいてポータルサイトに掲載した内容のポイント部分を繰り返し丁寧に説明しました。

「1on1面談」を行う際に
留意すべきキーワード

 弊社では、今回の人事制度改定で、従来から実施していた「目標管理面談」を充実させるとともに、新たに「1on1面談」を付け加えたのですが、上司と部下の1対1の面談という形態は同じでも、従来の「目標管理面談」と今回導入した「1on1面談」は、趣旨や目的が異なる別の面談であることを理解してもらう必要がありました。

 そこで強調したのが「1on1面談=部下のための時間」というキーワードです。

 1on1面談は、「部下のための時間」ですから、部下が望むのであれば、仕事以外の話も、もちろんOKです。