
リニア中央新幹線が完成すれば時速500キロで走行し、東京大阪間を約1時間で移動できるようになる。その足元を支えている技術「超伝導」は、リニアの他にもわたしたちの生活を格段に発展させる可能性を秘めた、革命的な新技術だということをご存じだろうか。今こそ、「超伝導」の本当のスゴさとメカニズムを知っておこう。※本稿は、二間瀬敏史『量子テレポーテーションで人間は転送できるか?やさしく読める量子力学』(さくら舎)の一部を抜粋・編集したものです。
電線を超伝導材料にすれば
送電ロスがゼロになる
生活のために電気が必要なことはいうまでもありません。電気は必要不可欠ではあるものの、そのため原子力発電の是非が問題になっています。
しかし、発電所から工場や各家庭に電力が届くまでに約5%程度の電力が失われているのをご存じでしょうか。それは送電ロスと呼ばれるもので、電線内の電気抵抗によって電気が熱に変わってしまうことで失われる電力です。
日本全体では、原子力発電所約6基分の電力が輸送中に失われているのです。送電ロスをなくせば原子力発電所6基を稼働する必要がないということです。
送電ロスをなくす方法は、電線を超伝導材料にすればよいのです。超伝導というのは電気抵抗なしに電流が流れる現象です。電流が流れると磁場が発生することから、強力な磁石は強い電流から作られます。
超伝導状態で電流を流すことができれば、強力な磁石を作ることができ、強力な磁場を必要とするリニアモーターカーやMRI(核磁気共鳴画像法)などさまざまな応用が広がります。