【変化要因1】
若い労働力人口の減少ペースの加速

 日本の人口が少子高齢化していることは誰でも知っていますが、数字で捉えるとどうでしょう?

 2025年6月現在、わが国の20代の推計人口は約1279万人です。これに対して50代は1836万人。今の50代は30年前に20代だった人たちですから、1990年代と比較すれば若者人口は約30%も減少しています。おなじ理屈で40代と比較しても20代はおよそ20%の減少です。

 そして怖いことにはこれからの10年で若者はさらに20%減少、20年後には34%減少することが「決まっている」のです。なぜなら20年後の20代はもう生まれているからです。

 このように若い人を採用しようとしても母集団の数が以前の2割〜3割も減っているのですから、数字を見れば、若者を採用するのが難しいのは当然と言えるでしょう。

 一方でまいばすけっとやユニクロといったチェーンストアのビジネスモデルは若者が潤沢に採用できた1980年代から1990年代に確立したものです。

 そのチェーンストアのビジネスの根底にある考え方は、「売れるフォーマットのビジネスモデルが確立できれば、あとは出店すればするだけ企業が成長できる」というものです。

 ユニクロもセブンイレブンもコメダ珈琲も焼肉きんぐも、一度ヒットするお店が完成すれば、あとは、日本国内に白地がなくなるまで店舗拡大していくことが理論上は可能でした。コストコやIKEAなどの外資もこの点では同じです。

 しかしこの理論が成り立った1980年代と、現代、つまり2020年代でひとつだけ違う前提があります。それは若い労働力の奪い合いです。実際は20代だけでなく30代、そして40代の労働力をチェーンストアが取り合っているのですが、その母数が減っているのです。

 ではどうすればいいのでしょうか?成功しているチェーンストアの場合、店舗を出せば出すほど儲かるのであれば、パートの給料を上げるか、それとも店を出さないかの二択のトレードオフ(どちらかしか選べないという二律背反のこと)になります。

 経営者にとってこの二択の判断は明白でしょう。