ペテロがちょっと残念な人物であること自体が、僕たちに向けられた神様からの救いのメッセージなんです。救われるのには賢くなる必要も強くある必要も、誠実である必要さえありません。その弱さを認めて神様に救いを求める、それだけでいいんです。

イエスを銀貨に換えたユダ
いくらで売った?

「今日の10円か、明日の100円か」なんてことは仕事をする上でよく言われます。今日の10円を得るために明日の100円を逃すようなことは、ビジネスとして良くありません。「木を見て森を見ず」なんてこともよく言われます。

 皆様の周りにもいるのではないでしょうか、小さな利害に囚われて、もっと大きなチャンスをないがしろにしてしまうような人。聖書の中で「裏切り者」として有名なユダも、実はそんな人だったのではないかと思います。

 クリスチャンでない方であっても「ユダ」という名前は、皆さんどこかで聞いたことがあるでしょう。ユダはイエス直々に12人の使徒として選ばれたのにもかかわらず、銀貨30枚でイエスをローマ兵に売り渡しました。

 銀貨30枚というのは、現代日本の価値に直すとだいたい90万円くらいだと言われています。大金と言えば大金ですけれど、その額で大切な師匠を裏切るとなると「うーん、ちょっと安くない?」なんて思ったりもします。

 ユダは「目の前の現実を、少しでも良くしたい」と考えていました。だからとある女性がイエスの頭に高価な油をかけたとき、「その油を売ればどれだけの人が楽になるのか!」と怒りました。

 しかし、もしその油を本当に売って貧しい人に施したとしても、その人たちが食べられるのは短い期間だけです。本質的な解決にはなりません。現代でも、たとえば貧しい国にただ食料を送ることは根本的な援助にはなりません。食料は食べてしまえば終わりですから、大切なのはそれよりも食料の作り方を教え、そのためのインフラを整えることです。