不正問題を受け、認証試験を自動化
ダイハツ工業は2023年4月、海外市場向け車両の認証申請で不正行為を公表した。同年12月には新たに174件の不正が判明し、国内外で生産中のダイハツ開発車種の出荷を停止。さらに国内の全完成車工場の稼働も停止した。2024年1月に国土交通省から是正命令を受け、四半期ごとに再発防止策の進捗を報告していたが、2025年1月の4回目の報告で全102項目が全て「実施済み」か「継続して実施中」となり、報告を終えた。

こうした背景があって開発されたのが、認証試験において人が介在する作業を自動化するシステムだ。
従来の認証試験は文書作成を要する工程が多く、そのほとんどが紙に手書きやExcelへの手入力で行われていた。今回開発したシステムは、計測器から測定データを自動取得してタイムスタンプ付きでデータベースに自動保存し、試験成績書も自動生成する。人による操作はアプリのボタンを押すのみで、データの入力・修正はできない設計だ。これにより、人為的ミスや改ざんを防止し、データのトレーサビリティ(追跡可能性)も確保された。手作業と比べて大幅な時間短縮も実現している。
自動化システムを作ったのは、ミニカーレース大会のチャンピオン
開発した笠原恭平氏と中城拓也氏は、それまで工場で自動車のトランスミッションを作っていた。ただ、ソフトウェア開発の潜在能力に光るものがあり、社外の自動運転ミニカーレース大会では2年連続ぶっちぎりで優勝。DX推進室に「一緒にやらないか」とスカウトされたときは、「正直、後先考えずに飛び込んだ」という。
