準備命令から作成計画の確認までを
6時間で終わらせねばならない

 訓練時代のわたしは、作戦構想の作成にいつもいらいらさせられていた。今回は〈ペリリュー〉の士官室で、パワーポイントのプレゼンテーションを使ったブリーフィングがおこなわれた。大尉や少佐たちは、文字サイズや背景色や、ヘリコプターが飛んでいるかわいらしいイラストを入れるかどうかで言い争っていた。

 とはいえ、ブリーフィングの目的はいたって健全だ。計画を公表し、批評し、仮定を検証し、何かまずいことになりそうな調整不足の点を集中的に強化する。適切な変更と改善が加えられたあと、最後は確認ブリーフィングで計画をはじめから終わりまで総ざらえし、主な任務に就く者が自分の役割をMEU指揮官に説明する。

 MEU(SOC=特殊作戦能力)の基準によると、この準備命令から確認までのプロセス全体を6時間以内に終えなくてはならない。

 計画が承認されたあとになって、はじめてわたしは気兼ねなく隊員たちに説明することができた。任務のこまかい点が二転三転する混乱に隊員たちを巻きこみたくなかったのだ。

「火器小隊、集合」わたしはノートと地図のコピーを手に、格納庫に立って言った。隊員たちは弾薬を装填(そうてん)したり無線を合わせたりする手を止めて、話を聞こうと詰め寄ってきた。わたしが手短に任務を説明すると、隊員たちは小さく口笛を吹いたり、うなずいたりして了解したことを示した。

「今はスケジュールを守ることが重要だ。やることがたくさんある。今夜はこのあと、各自の装備と小隊の装備を準備しろ。今夜はしっかり休め――明日は忙しくなるぞ」

 わたしは隊員たちの顔、顔、顔を見回した。「いよいよだ、みんな。いまこの瞬間、おまえたちの立場に立ちたいと思ってる男がアメリカに1億人いる。反撃の名誉はわれわれのものだ」