疑問を持つ若いビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

現代のリーダーはとにかく忙しい。部下からの質問や相談に時間を奪われ、タスクは山積み、休日返上で働いている人も少なくないだろう。本稿では、リーダーの負担を減らし成果を上げる具体的な仕組みの例を紹介する。比較的取り入れやすいものなので、あなたのチームで活用できるか検討してみてほしい。

※本稿は、田尻 望『無言のリーダーシップ 付加価値を生む仕組みのつくりかた』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

忙しいリーダーこそ仕組み化に時間を使え

 多くのリーダーが仕組み化に着手できない最大の理由は、「とにかく忙しすぎる」ということだ。特に、個人目標を達成しながら、部下からの相談や進捗管理、問題発生時のフォローまでこなすプレイングマネージャーは、日々やることが山積みで、土日返上で働いている人も少なくないだろう。

 リーダーは、「いつかは仕組み化しなければ」と思いつつも、日々のノルマに追われ、いつの間にか「仕組みは後回し」という悪循環に陥る。

 本稿では、リーダーの負担を減らしつつ成果を上げていくための具体的な仕組みの一部を紹介する。どれも比較的取り入れやすいものなので、あなたのチームで活用できるか検討してみてほしい。

「都度相談」に疲弊するリーダーたち

 どんなにリーダーが優秀でも、日々の細々としたトラブルや相談ごとがゼロになることはない。部下から「質問があるんですが……」「ちょっといいですか?」と声がかかるたびに、「いま答えないと部下が困るし……」とリーダーがその場で答え、一緒に問題を検討する。そのやり取りが、いつの間にか30分、1時間と長引くことも珍しくない。

 部下からすれば、「都度相談」は気がラクかもしれないが、それが当たり前になると危険だ。「質問をすればリーダーが答えてくれる」という受け身の姿勢が定着し、リーダーの負荷が高止まりすることになる。

 期間を決めたマイクロマネジメントなら効果的だが、私が現場で見てきた限り、だらだら続く「都度相談」を引き受ける面倒見のいいリーダーは、長期的には疲弊してしまう。せっかく前回紹介した4つのステップを踏んだのなら、部下がそのステップを逆戻りしないように、次は、自走を仕組み化していくことが重要となる。

仕組みで質問を集約する――FAQドキュメントやフォーラムの導入

「都度相談」を脱却するためには、仕組みを使って部下の質問や相談をまとめて処理する工夫が有効だ。具体的な仕組みの例を挙げてみよう。