先週、米ドルは88円割れ寸前まで下落しましたが、その後は米国の雇用統計の結果が予想より良かったことなどを材料に、90円台まで反発しました。
ただ、米国の雇用統計の好結果を受けた米ドル高が「短命」に終わるパターンが、これまで1年ほど続いています。今回はどうでしょうか?
それを含めて、今回は、いわゆる「パターン分析」を中心に、当面の為替相場の行方を考えてみたいと思います。
下の表は、2009年1月以降の米国雇用統計と米ドル/円の関係をまとめたものです。
これを見ると、注目度の高いNFP(非農業部門雇用者数)の結果が事前予想より良かった、いわゆる「ポジティブ・サプライズ」が5回あったことがわかります。表には「○」の印で表示しました。
その横の欄には、NFPの結果を受けて、NFP発表当日、そして翌週末にかけての対円での米ドル騰落状況を矢印で示しました。
すると、NFPが「ポジティブ・サプライズ」だった5回では、その日に米ドル高となったのは3回にとどまりました。また、この5回のうち3回が、翌週末に米ドル安となっていました。
このように見ると、NFPの「ポジティブ・サプライズ」が米ドル高をもたらす効果について、1週間ももたない確率がとても高いということがわかります。
これまでのパターンどおりなら、
今週末に89円割れ!?
NFPが「ポジティブ・サプライズ」でも、米ドル高は1週間ももたない…
それどころか、下のグラフを見ると、米ドル高効果はかなり「短命」のようなのです。
このグラフは、米ドル/円の日足チャートに、前述の「NFPがポジティブ・サプライズだった日」をマークしたものです。
これを見ると、NFPの「ポジティブ・サプライズ」が、当面の米ドル高のピークとほぼ一致していたことがわかります。
もう少し細かく見てみると、NFPが「ポジティブ・サプライズ」となった5つのケースでは、NFP発表当日、または、発表の翌営業日に当面の米ドル高値をつけていたのです。
つまり、NFPの「ポジティブ・サプライズ」に伴う米ドル高は、一両日といったごくごく「短命」に終わっていたわけです。
今回もこの「パターン」どおりになるなら、米ドル高がすでに終わった可能性すらあり、そして今週末には、米国雇用統計の発表前よりも米ドル安になっている可能性もあり得るでしょう。
3月4日(木)の終値が89円だから、3月12日(金)に89円割れといった見通しになるわけです。