セブン、ローソン、ファミマのアイスコーヒーを実測してみた

 今回の調査の目的は、単に各社間のコストパフォーマンスを比較し、優劣をつけることではない。そもそも、コーヒーという嗜好品の価値は、価格と量という2つの軸だけで測れるものではないからだ。

 各社が使用するコーヒー豆の種類、原産国、焙煎の度合い、抽出方法といった要素は、それぞれ独自の風味や香りを生み出す。ある人にとってはファミリーマートの「甘味焙煎」が心地よく、またある人にとってはローソンの力強い味わいが好ましいかもしれない。

 私は、セブン、ファミマ、ローソンの順でおいしく感じられるが、主観が大きく入っているのは認めざるを得ない。

 極端な話、提供されるコーヒーを水で薄めれば、量あたりの単価を安く見せることは容易だが、多くの消費者が求める品質とはかけ離れているだろう。

 したがって、本稿では味の評価といった主観的な領域には踏み込まず、あくまで各社が顧客に提示する価格とサイズのメニューが、どのような構造を持ち、いかなる意図のもとに設計されているのかを客観的に分析することに主眼を置く。

 価格設定の背後にある企業の論理を読み解くことで、賢い消費者として自らの判断基準を確立するための一助としたい。

 それでは、早速具体的な実証データを見ていこう。

 計測方法は前回と同様、ローソン、ファミマでアイスコーヒーを購入し、コーヒーが注がれる前の氷入りカップの重量と、コーヒー注入後の総重量を電子はかりで測定する。その差をコーヒーの正味量(g)とし、水1gを1mlと換算して単価を算出した。

 以下の表に、セブン、ローソン、ファミリーマート3社の実測データと、1gあたりの税込単価を記す。

 セブンのアイスコーヒーは、レギュラーサイズの価格が140.4円で実測容量は97g、1gあたりの単価は約1.45円であった。ラージサイズは価格250.6円で容量149g、単価は約1.68円となる。

 ローソンのアイスコーヒーは、Sサイズの価格が172.8円で実測容量は96g、単価は約1.8円。Mサイズは価格280.8円で容量131g、単価は約2.14円。メガサイズは価格388.8円で容量273g、単価は約1.42円であった。

 ファミリーマートのアイスコーヒーは、Sサイズの価格が156.6円で実測容量は95g、単価は約1.65円。Mサイズは価格259.2円で容量158g、単価は約1.64円。Lサイズは価格356.4円で容量218g、単価は約1.63円という結果になった。