信頼できる
外部コンサルの条件とは
面倒でも、契約事は、管理会社を通さず、住民側が独自に業者を探すことがリベート構造による高コスト体質から脱する上で重要になる。
「契約の見直しの際は、見積時に管理会社との接触がないように注意し、管理会社と取引のない業者を選ぶのが望ましい。管理会社と取引のある業者は、直接、組合から安く請けると管理会社を敵に回してしまうので『直請け』しない場合も少なくない。HPなどで、下請けを使わないことをうたい、費用を明示しているような業者が候補になる」(同)
管理会社主導の体制を改革するには、外部コンサルの活用も選択肢になる。特に高額な設備更新など、参入の少ない分野の見積もり取得は素人ではどうしても難しい。
筆者が考える信頼できるコンサルの見極めポイントは、適正管理の根幹である利益相反問題を説明し、すぐに着手可能な、日常の管理コストの削減提案があったかどうかだ。例えば、EV保守業務をメーカー系に変えれば、半額近くにコストダウンでき、安全性も変わらないとされる。
逆に危ういのが、管理会社からの紹介や他物件でつながりの可能性のある大手だ。管理会社に仕事をあっせんされていたり、つながりがあると、彼らの提案への追認が仕事になる。
「本当に競争原理を導入できれば、かなりの維持費削減が可能なはずです。ただ、管理会社との関係は悪化する。もし委託料の値上げ要請があれば、それは受け入れてもいい。それでも、無駄な工事が増えるよりは全然いいからです」(同)
管理組合は大きな利権だ。
一見、第三者や住民側に立っていると感じる情報でも、積立金の値上げは、結果的に業者の利益とも直結しているだけに注意が必要だ。「適正化」とは積立金の値上げではなく、「談合・リベート」構造を脱することだ。この構造を無視して、「改革」を語るのは全くナンセンスなのだ。
築50年超でも修繕積立金月1万円なら
リセール価格は落ちない
もちろん、毎月の積立金がゼロや月数千円であれば確かに廃虚化する。しかし、1万円前後でも本当に安いのか。さらに値上げしないと本当に廃虚化してしまうのか。その答えはすでに築50年超のマンションストックが出している。

不動産関係者が言う。
「築50年を超えても、毎月の修繕積立金が1万円程度のマンションであれば、少なくとも、相場と比べてリセール評価が落ちるといった現象は見られない。むしろ、高額な維持費のマンションほどリセール価格で落ちているケースが多い」
積立金が安い物件は危ないと言われるが、筆者はむしろ2万円を超えるような高額な積立金のマンションほど管理会社の言いなりで、“搾取マンション”であることが如実に表れていると考える。
工事や設備更新は遅くやっても、トータルコストが少なくても、極端な事例を除いて、結果としてマンションの評価が悪化している事例、事実はないのだ。