
長年、不動産関連取材を手掛ける原 信昌氏によると、新築マンションの維持費が急騰しており、特にタワマンでは月6万円以上になるケースもあるという。高額化する維持費は適正なのか、原氏が取材・検証した。(ジャーナリスト 原 信昌)
タワマンの維持費が
月6万円超に高騰するケースも
近年、新築マンションの維持費が急騰している。さくら事務所によれば、19~24年の間に東京都心9区での新築物件の管理費は34%増と、物価上昇率の4倍超だ。
特にタワーマンションでは、管理費が月3万円超に上り、修繕積立金も見直し後に3万円近くとなるケースが多い。合計では月6万円以上となる。
高額化する維持費は果たして「適正」なのか、問題はそこだ。
折しも今年3月、公正取引委員会が大規模修繕を巡り談合の疑いで工事会社を一斉検査した。報道によると、30社以上の大手業者に加え、設計コンサルタント会社も調査対象となっている。
業界全体の関与が指摘される中、鍵を握るのは管理会社だ。業界関係者らは「彼らも談合に深く関与しており、設計コンサル、工事会社からもリベートを得ている」と口をそろえる。
住民側には極秘の、管理会社による「談合・リベート」の構造――。
管理会社とは
「管理を売る会社」
この問題は実は想像以上に深刻であり、大規模修繕のみならず、これが高額なマンションの維持費の原因にもなっている。理事会が危機感を持たないと、全住民の資産性悪化につながる恐れがあると筆者は考えている(国交省不動産・建設経済局は、管理会社による談合・リベートについて「調査をしてないので把握していない」と、筆者取材に回答)。
そもそも、管理会社の仕事の実態は、管理の実務ではなく、その“仲介”だ。「管理をする会社」というより、業者を手配することで手数料を得る「管理を売る会社」と表現した方が的確だ。それも、堂々と売るのではない。管理組合の発注を代行することにより、業者サイドから手数料を得る、というのが一般的なスキームだ。
業界関係者が言う。
「具体的には、住民が感知しないところで工事業者らと“調整”して価格を引き上げ、各種紹介料名目でリベートを得るというものです。グループ企業の利用や、住民側が独自に得た見積もり先の業者へ裏でリベート要求する場合もあり、管理会社の“お抱え業者化”するケースもある。とにかく巧妙なのです。
公取委が指摘した工事会社による大規模修繕の談合に限らず、日常の工事や設備更新にも管理会社による談合・リベートの構図がある。清掃や保守の契約も、高額なリベートを条件とした分譲時の随意契約であり、割高です」
