Cさんをはじめ、リキッド消費傾向の強い若者を観察していると、(1)絶え間なく情報が与えられ続けることで、その分野に対する興味関心が高い状態で保たれていることと、(2)そこで与えられる製品情報が次々と入れ代わるために、「欲しい」と思うものが激しく移り変わることが見えてきました。
次々と流れてくる情報が
購買行動に与える影響
「欲しい」と思うものが激しく変わるのは、Cさん以外の若者たちも同じでした。彼・彼女らは、自分たちの購買行動について「すぐに飽きてしまう」、「新しいものを買うことで気分があがったり、爽快感が得られたりする」と語っていました。
インタビューでは「新しい方がキラキラして見える」、「私は浪費癖があるのだと思う」といった言葉がよく聞かれました。これらを参考にすると、リキッド消費傾向の強い若者は、理性的に手順を踏んで検討するというよりも、新しいものを手に入れること自体に心地よさを感じているようです。
もちろん、こうした新しいものを手に入れること自体を心地よく感じる気持ちは、先述した「流れてくる」環境と関連しているでしょう。膨大な数の製品が目まぐるしく入れ替わる環境にいると、新鮮味が失われやすくなったり、飽きやすくなったりすると考えられます。
そして同時に、気持ち良さや爽快感を求めて、どんどん新しいものが欲しくなると推察できます。こうして「次々に欲しくなる」という心理が生まれているようです。
調査では、「流れてくる」という現象に加え、もう1つとても興味深いことが発見されました。それは「寝かせる」という行為です。
とくに20代以下の若年層では、SNSなどで気になる製品に出会っても、すぐに積極的な検討を開始しない様子がみられました。ファースト・コンタクトで「いいな」「欲しいな」と思っても、その場で詳しく調べたり、勢いにまかせて買ってみたりすることはほとんどありません。気になる製品をスマートフォンにメモしたり、製品が紹介されている投稿をスクリーンショットで保存したり、あるいは頭の片隅においておくなどします。これが「寝かせる」という行為です。
今回の調査では、若年層のほとんどが、「寝かせる」という言葉を口にしていました。