海外エリートが「ファーストネームで自己紹介」するのが1980年代から“当たり前”になったワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

「沈黙は金」「相手にさん付け」が日本人のビジネスマナーだが、アメリカのビジネス現場での常識はまるで真反対だ。世界で通用するコミュニケーションスキルを身につけるために、日本人はどのように振る舞ったらいいのか。国内外で2000名以上のVIPたちにインタビューしたジャーナリストが世界標準の聞き方・話し方を伝授する。※本稿は、斉藤真紀子『たった1分で相手が虜になる世界標準の聞き方・話し方』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

アメリカのビジネス現場では
社長もファーストネームで自己紹介

 競争が激しい世界標準のビジネス現場は、互いを敵とみなすような、殺伐とした雰囲気なのではないか。そう思われがちだが、ビジネスリーダーは「フレンドリーであること」は礼儀と心得ている。

 初めて会った人でも、心理学用語で「ラポール」と呼ばれる、橋をかけるような信頼を築けるかどうかが、ビジネスの成果に大きく影響するからだ。周囲と円滑にコミュニケーションを取れないようでは、仕事ができるとはみなされない。

 ニューヨークで金融記者をしていたとき、銀行や証券会社のトップ、CEO(最高経営責任者)にインタビューする機会があった。どの人も初対面なのに親しみやすい。

 えらそうなそぶりはみせず、とりわけ腰が低いわけでもなく、「対等」に接してくれるのだ。

 目が合うとにっこり、「こんにちは、トムです」とファーストネームで自己紹介して、握手をする。

 自分の親ほど年齢が上であっても、「ミスター○○」ではなく、「トム」と呼ばせる。

 実は、アメリカや海外のビジネス現場で、ファーストネーム呼びが主流になったのは、1980年代ごろだ。