こちらが「入念にリサーチして準備をした完璧な質問」を手渡したとして、相手がうーんとうなりながら、じっくり考え抜いて出てくるのが本音とは限らない。
相手が「伝えたい」気持ちを高揚させた結果、何かを急に思い出したり、自分でも予想していなかった言葉が飛び出したりする。
そんな機会をとらえるには、「動き」や「ゆさぶり」が必要だ。
歌舞伎町のナンバーワンホストが
話を聞く前に見ていること
あなたのリアクションや質問、互いのやり取りが、相手の感情を解放させられるものであればあるほど、本音や核心がとっさにすべり出しやすくなる。
「インタビュー嫌いなので、どうか気を付けてください」と事前に心配されたイギリスの世界的ロック歌手でさえ、この方法で話が止まらなくなった。最後はこちらが質問していないことまで、自分から話してくれた。
相手がつい本音を話したくなる空気をつくるにはまず、「相手をみる」。
観察力のヒントを紹介しよう。
靴に関する雑誌の特集で、歌舞伎町の売上トップ、人気ホストを取材したときにこんな話を聞いた。
「靴のかかとの減り具合で、女性のタイプがわかる」というのだ。
「かかとがすり減っている女性」(私のことだ)は花束など、ロマンチックで大ぶりのアプローチを喜ぶ。「かかとが減っていない」女性は「新しい前髪、すごく似合っているね」と細かいこだわりポイントをほめる。
ほかにも「大きいバッグに荷物をつめる女性」と、「小ぶりのバッグに必要なものを入れて運ぶ女性」とでは、口説き方が違うそうだ。
参考にすべきは、相手を細かく観察するのみならず、プレゼントを渡したり、口説いたりしたときの反応をしっかりみていることだ。そこにいたるまでに、数々の試行錯誤を重ねたはずだ。
まず「相手の反応を観察する」。そのうえで、「ギアチェンジで空気をつくる」。
当然、相手や状況によって対応は変えていく必要がある。タイプに分けて、一つひとつみていこう。
相手が話す気満々のときは
強めの「圧」で本題をキープ
初対面の営業先で、相手とおしゃべりに花が咲いた。にこにこしながら、たくさん話してくれるので、互いに打ち解けることができた。
そういうとき、「今日はいい日だったな」と成功した気分になる。ところが、「あれ?肝心なことを話してもらえなかったな」ということはないだろうか。