傾聴するビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

近年、マネジメントに欠かせないスキルとして名前があがるようになった「傾聴力」。この傾聴に関して「部下の話を耳で聞くだけ」と考えている人も多くいるが、その方法は本質を欠いているという。部下が「Yes」と言ったとしても、本心では「No」の場合もあるからだ。人財育成の専門家が、人の話を正しく傾聴するために必要な3つのポイントを紹介する。※本稿は余語まりあ氏『行動傾向分析で磨く 個性を活かすリーダーのコミュニケーション』(同文舘出版)の一部を抜粋・編集したものです。

「傾聴」は人間関係を円滑にする
最強のアプローチである

 近年、マネジメントにおいて「傾聴」の重要性がますます認識されるようになっています。傾聴はもともと海外の臨床心理の現場で培われてきたものでした。日本では1960年代からビジネスシーンで使われはじめましたが、当初は会議の進め方としての側面が大きいものでした。

 あなたにも人に話を聞いてもらえなくて悲しい、あるいは悔しい思いをした経験はありませんか?人は元来、自分の話を聞いてほしい、理解してほしい、わかってほしいと思うもの。こちらがしっかりと耳を傾けているという姿勢を見せることで、相手はあなたを信頼し、人間関係がより深まります。

 しかし、傾聴のメリットはそれだけではありません。まず、よいものも悪いものも含めて、情報がたくさん集まることです。相手から引き出した情報をもとに相手に対する理解を深めることができるだけでなく、自分自身の知識が増えたり、洞察力が深 まったりしていきます。さらに、職場や組織の風通しがよくなり、コミュニケーションが活性化することで、さらにチームとしての力が強くなり、ひとりでは成し遂げられなかったこともできるようになるのです。

 部下の考えを引き出すことができるか、部下の隠れた才能を見出すことができるか、それもすべてあなたの「聴き方」にかかっているといっても過言ではありません。本稿では傾聴を次のように定義して話を進めていきます。

 傾聴力=相手が話をしやすい環境をつくる
 質問力=相手が話しをしやすい聞き方をする

 相手を観察した上で、傾聴と質問をうまく活用すると、あなたのマネジメント力は劇的に向上するでしょう。