なごやかなムードで、相手が話す気満々なときは、会話を楽しみながらも、しっかりと自分が聞きたいことを聞く。

 ギアチェンジはどうする?圧は「強め」でOKだ。

 声の大きさ、リアクション、質問のしかたに現れる、「自分の存在感」を私は「圧」と呼んでいる。「心のありよう」を変える、と言い換えてもいい。

相手の口数が少ないときは
質問を言い換えて大げさに反応

 上司が部下の「困りごと」を聞き出そうと思っているのに、なかなか話してくれない。1対1でミーティングをしたら、黙りこくってしまった。そんな悩みを聞く。

 相手の口数が少ない、テンションが低い。そういったとき、質問しても重苦しい空気が漂ってしまう。相手のほうも、話したい気持ちはあるのだが、「気持ちを言語化して伝えるのが苦手」「慎重になりすぎて、言葉を選んでしまう」という場合がある。

 もし相手が、「どう話していいのかわからない」と迷いがありそうだったり、シャイで口数が少ないタイプだったりしたらどうするか。

 ギアチェンジして、「圧を強め」にする。

 これは実際に私が経験したインタビューの事例だ。

(質問)「英語のセリフが多いですが、どんな準備をしましたか?」

(相手)「……(しーん)」

 空気が一度重くなると、口を開くのがますますプレッシャーになる。悪循環だ。相手を観察すると、考え込んでいるようだった。

 相手が時間をかけて考えて、口を開くのをひたすら待つ。2~3分が永遠に感じた。

 そして残り5分になったとき、「これでは記事が書けない」とばかり、猛烈な勢いで質問を始めた。

 いつまでも答えが返ってこなければ、質問を何度も言い換えてみる。「たとえば私だったらこうですが」と回答例を示してみる。

 ようやく相手が重い口をあけて、ひと言ふた言、何か言葉を発したら、そこでしっかり反応する。

「そうなんですね!」と共感する。

「なるほど」「わかります」と納得をする。

「えーっ!」と意外性を示す。

 ポイントは、ここぞとばかりに元気よく反応することだ。

 場の空気が軽くなるからだ。

 結局、最初重い空気だったインタビューは、ある質問がきっかけで本人も原点を思い出し、意外な面白い話を聞くことができた。空気を沈ませず、言葉を投げかける。最後まで諦めない。きっかけさえあれば、相手も話をしやすくなる。