ネタはかなりブラック、農村の嫁問題を笑いに

 以下、これまでにコメディエンヌ・房主任が披露したネタから拾ってみよう。

「わたしには娘が2人いる。姑は『男児を産めない女は不完全』だと言った。あと『離婚した人は半人前』だって。となると...…わたしには息子もいないし、離婚もした。不完全な半人前? わたしってまだ人間かしらん!?」

 30年前、彼女は母親が見そめた相手と結婚した。「身長155センチで体重45キロほど。母はそんな“コーギー”(胴長短足を暗示している)をわたしの夫に決めた。母たちはわたしの姉が家庭内暴力を受け続けているのは、ガタイのいい男を選んでしまったからだと考えていた。父もわたしの夫を見て、『いや~コイツはいい。この体格じゃ、オレの娘を殴れないだろ』と言った」

 だが、初めて会ったとき、未来の夫は「175だ」と胸を張った。彼女はキツネにつままれたような気分になり、「……血圧の話?」と返した。

 夫はギャンブル好きで、家のお金を持ち出しては賭博で負け続けた。彼女が意見すると、その小さな身体で殴りかかってきた。計算違いだったのは、彼だけではなく、口答えする嫁に怒った舅(しゅうと)も一緒に手を出してきたことだった。

 あわてて実家に帰り、「離婚する!」と宣言したが、実家の両親には「お前が離婚すれば、我が家が恥をかく」と反対された。彼女はその時思った。「男が女に暴力を振るっても恥ずかしくないのに、女が離婚したら恥ずかしいの!?」

 ……と、このように彼女の笑いはかなり生々しく、またブラックである。だが、実際に中国では誰もが知っている農村の現実を、彼女は自分の体験談として笑いにし、その深刻さを知っている観客たちの笑いのネタにした。中には身につまされたのか、それとも自分の状況との相似からなのか、半泣きしながら拍手する女性観客も少なくない。