月経のつらさや下がる結婚率もネタにする
彼女たちのネタは自身の体験や経験をもとにしたものが多く、同じ境遇に置かれた女性観客たちの大喝采を浴びている。例えば、今年注目されているコメディエンヌの1人、菜菜さんは女性の「生理」(月経)をネタにする。そのきっかけとなったのは、「女性は一生の間に6年半分を月経に費やす」というデータを目にしたことだった。彼女はそれをもとに計算したところ、女性1人が一生のうちに使う生理ナプキンの費用総額は合計約5万元(約100万円)かかると知った。それを舞台に立ってこう言った。
「だから、わたしは他のコメディアンとは違うのよ。彼らは夢を追いかけるためにこのステージに立っている。わたしはね、『経費』を稼ぎに来たの」(「月経」と「経費」を掛けている)
また、もう1人のコメディエンヌ、唐香玉さんは、若い世代の結婚率が下がり続けている理由を、こんなふうにネタにした。
「我が家はわたしが売れ残るのではないかと恐れて、わたしが小さな頃から架空の嫁ぎ先を想像していた。4~5歳の時から『きちんと毛布が畳めないと、嫁ぎ先に笑われるよ』、餃子がうまく作れないと『嫁ぎ先に笑われる』などと言われ続けたの。だんだん、子ども心に『嫁ぎ先』って怖いところだと思い始め、幼稚園の時にはすっかり結婚恐怖症だったわ」
今は女性の大学進学率が男性を上回っているというデータもある時代だ。一方で、まだ高等教育が普及していなかった、彼らの親たちの観念は昔のままである。だから、大学を出てキャリアを構築しようとする女性たちは、親たちに結婚や出産を急かされて板挟みになる。そのせめぎ合いに悩み、疲れ切った女性は少なくなく、また自分を理解してくれる理想の相手がいないことも彼女たちのプレッシャーになっている。
こうした現代女性ならではの悩み、さらにこれまでそれを公にして発散する場がなかったところに、コメディエンヌたちが多くの女性たちが共有する苦しみや煩わしさを堂々とネタにしてみせ、笑いをとるようになった。
「わたしは40歳。まだ結婚しないのかとよく言われるけれど、我が家の婚姻運はもうわたしの父親が使い果たしてしまった。うちの父は6回も結婚したのよ。家に帰って見知らぬ女性がいると、必ずこう尋ねる習慣ができた。『あなたは、わたしの新しいお母さん?』」
これは新疆ウイグル自治区のウイグル族女性、小[巾白](パツリアール・パルハチ)さんのネタである。