自動車 “最強産業”の死闘 アンケート#4Photo:Bloomberg/gettyimages

日産自動車の再建を託され、4月に社長に就任したイヴァン・エスピノーサ氏は、社内外からどのように評価されているのか。ダイヤモンド編集部は自動車業界関係者350人からアンケートの回答を得て、商品企画担当の役員だったエスピノーサ氏が開発に携わった新型車が日産の経営を上向かせることができると思うかを聞いた。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』内の特集『自動車業界350人アンケートで示す“危機の本質”』の本稿では、日産が「ヒット作」を生み、経営を再建できるかに迫る。アンケートの結果から、新型「エルグランド」に期待する声があるものの、日産が発売する車種は総じて厳しい見方をされていることが分かった。同社をよく知る提携先の三菱自動車やサプライヤーは、日産復活の可能性をどうみているのか。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

日産の命運を握る新型「エルグランド」「リーフ」は
社員やサプライヤー、ディーラーからどう見られている?

 日産自動車のイヴァン・エスピノーサ社長はトップ就任後、大胆なリストラ策を打ち出した。世界に17カ所ある工場を10カ所に減らす他、2027年までに2万人を削減するというのだ。この構造改革については、投資家などからおおむね高評価を得た。だが、今後の日産にとって肝心なのは、ヒット車を生むための成長戦略である。

 当面、日産が予約の受け付けを始めているEV(電気自動車)新型「リーフ」や、26年夏に発売予定の大型ミニバン、新型「エルグランド」、新型SUV(スポーツタイプ多目的車)などが人気を博すかどうかが日産の命運を左右するといえる。

 そこで、ダイヤモンド編集部は自動車業界アンケート(下図参照)で、日産を含む自動車メーカー、サプライヤー、ディーラー関係者350人に、商品企画担当の役員だったエスピノーサ氏が開発に携わってきた新型車が日産の経営を上向かせることができると思うかを聞いて結果をまとめた。

 日産を巡っては、経営再建に向けた施策の一つとして、ホンダなどとの経営統合が取り沙汰されている。しかし、本特集の『日産とホンダ、三菱自の統合は必要か?自動車業界350人が本音を暴露「日産は子会社になったとしても、トヨタの支援を仰ぐべきだ」との意見も!』で明らかにしたように、ホンダ社員らは、日産との統合に後ろ向きであることが、自動車業界アンケートで分かった。

 ホンダとの統合が難しいとなれば、日産が自社の新型車をヒットさせることの重要性はさらに高まる。

 次ページでは、日産の新型車に対する業界関係者の評価を大公開する。回答を分析すると、新型車が日産の経営を上向かせるとみる回答者の割合が、日産関係者と、日産を主要顧客とするサプライヤー関係者との間で5.6倍も違うことが分かった。今後、提携先となる可能性がある三菱自動車関係者が、日産の新車開発力や商品力をどう評価しているのかも気になるところだ。