自動車 “最強産業”の死闘#21今年6月、記者会見に臨む(左から)トヨタ自動車の佐藤恒治社長、日野自動車の小木曽聡社長、三菱ふそうトラック・バスのカール・デッペン社長、ダイムラートラックのカリン・ラドストロムCEO Photo:kyodonews

国内トラック大手の日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは、来年4月に設立される新会社の傘下に入ることとなった。新体制では、トヨタ・日野連合とダイムラー・三菱ふそう連合の間で早くも主導権争いが勃発しているようだ。連載『自動車 “最強産業”の死闘』の#21では、船出を目前に控えたトラック連合の関係各社の思惑を徹底検証する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

日野・三菱ふそう連合が来年4月にスタート
水面下ではトヨタとダイムラーが主導権争い

 国内トラック大手の日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの統合発表から2年半の時を経て、遂に新会社の全貌が判明した。

 来年4月に設立される新会社「ARCHION(アーチオン)」は日野と三菱ふそうを傘下に持つ持ち株会社だ。アーチオンが予定通り始動すれば、日野は上場廃止となり、2022年の日野の不正発覚に端を発した国内トラック業界の再編は、ひとまず決着を迎える。

 アーチオンのトップには現三菱ふそう社長のカール・デッペン氏が就き、日野の小木曽聡社長はアーチオンのCTO(最高技術責任者)に就任する予定だ。

 新会社の経営陣には、日野や三菱ふそうの幹部が名を連ねている。一見すると、「トヨタ・日野連合」と「ダイムラー・三菱ふそう連合」の対等な統合が実現するように思える。

 しかし、水面下では既に両社の駆け引きが始まっているようだ。次ページで述べるように、トヨタ自動車とダイムラートラックの間に「決定的な優劣」があるのだ。

 次ページでは、船出を目前に控えたトラック連合の関係各社の思惑を徹底検証する。