京都先端科学大学の川上浩司教授は、「不便益」という、さまざまな不便なことによって得られる利益を紹介しています。
ラーメン屋さんの行列も不便益の一例ですが、実は仏教でも不便益を重宝しています。
苦しい修行を経て悟りを得ることもその象徴で、脚を痛めて坐禅をするなど、あえて厳しい環境に身を置くことで、心安らかな生き方に気づくことができます。
そのため、不便なことは悪い面だけでなくいい面もあり、不便があるからこそ自分自身を幸福へ導いてくれることもあるのです。
“嫌い”という感情は飲み込んで
相手の悪いところを反面教師に
職場の人間関係も同様で、そもそも働くというのは、人間が生きるうえで大変なことの一つです。
そんな大変な環境のなかで、本来はわがままな人間同士が人間関係を構築するとなると、それは苦労しないわけがありません。
そもそも職場の人間関係において、苦しんでいない人など誰一人いません。
会社に入れば上司は選べませんし、後輩や部下も自分の意志とは関係なく配属されます。
組織にいる以上、自分だけのわがままは通じませんし、嫌な人とチームを組むこともあります。
「そもそも職場の人間関係は思い通りにはならない!」ことを受け入れることが、まずは最初の一歩です。
また、人間関係が嫌なのであれば、無理に好きになる必要もありません。
きらいなことにたいして無理に好こうとすると、心に負担が生じストレスにつながります。
この人はきらい、合わないと、自分の心に正直に向き合って、それを受け入れることも大切です。
ただし、社会人である以上、それを表立って出すのはよくありません。心の奥にしっかりとしまっておいて、その苦しみをどう利用できるかを考えましょう。
反面教師であれば、自分は同じようにならないための良き師となります。
きらいな部分がわかれば、自分は同じようなことをせず、人にきらわれない方法を発見できます。
仏教では、「怒りに怒りをもって返してはならない」と説きます。
怒っている人にたいして、怒りで返しても怒りが増幅するだけなので、その怒りを受け流して忍んでいくことが解決につながります。