意地悪をされたら意地悪で返すのではなく、それをサラりと受け流す。そして、なぜそのような意地悪をするのかを分析してみると、意外な発見もあるかもしれません。

 磁石のN極同士では、常に押し合っているだけです。嫌な相手を変えようとするのではなく、自分が対応を変えてみてS極となることで、少し近づきやすくなるかもしれません。

嫌いな相手にも心を持って接すると
ピンチがチャンスに変わり始める

 禅の教えにも「気は長く、心は丸く、腹立てず、口慎めば、命長かれ」とあります。

 人間関係においても、参考になる心掛けです。

 人間関係が嫌に感じたときこそ、深い呼吸を心がけて、気を長く保ちましょう。

 ピンチは自分を変えてくれるチャンスとなるので、柔軟な対応で心を丸くしましょう。

 そして、無駄に腹を立てることなく、余計な言葉は慎めば、その場に長く心地よく居られるようになります。

「恰好」という言葉がありますが、元は禅の言葉で「よし来た」という意味があります。

 趙州和尚という禅の僧侶が、弟子から「大困難が訪れた時に、師はどうなさいますか?」と問われたとき、「恰好(よし来た)!」と答えました。

 大ピンチに直面したときこそ、「よし来た!」と迎えられる度量を持つぐらいが、実は「かっこいい生き方」なのかもしれません。

 最近では、職場の飲み会や、上司との食事を嫌がる社員も増えたといわれます。確かに、意味を見出せない会合に行きたくない気持ちもよくわかります。

 そんなとき、本当に別の予定があったり、正直に行きたくないのであれば、素早く断ることが大切です。

 曖昧な回答をしたり、相手に気を持たせてしまうと、ますます言いづらくなります。

 即断即決で、無理な場合は正直に無理ですと、誠意をもって断りましょう。

 またその際に、仏教の慈悲の心を忘れずに、相手を気遣うことも大切です。

 せっかく飲み会を企画して、声をかけてくれたこと自体は、相手が私に行ってくれた好意です。

 そのため、どんな嫌な相手であっても、その好意を無碍にするのではなく、しっかりと心をもって、心を届ける心掛けは重要です。