
家事や育児、仕事に追われる日々の中で、互いにすれ違いや不満を感じている夫婦は少なくないだろう。仏教では心を癒し、関係を変える第一歩として慈悲の心を説く。現役の僧侶が語る愛ある夫婦の形とは?※本稿は、泰丘良玄『しんどさの癒やし方:不安になったらいちばん最初に読む本』(アルソス)の一部を抜粋・編集したものです。
3組に1組が別れる時代
夫婦の理想の形とは?
熟年夫婦が寄り添う姿を見て、自分たちもそうなりたいと思う瞬間は、夫婦生活を続けている人たちであれば、誰しも感じるのではないでしょうか。
私自身も、結婚して14年が経ちましたが、夫婦の理想の形にはまだまだ程遠いように感じます。
ずっと愛し合うことができたらとか、時が経つと愛ではなく情になるとか、いろいろと夫婦の悩みは絶えません。
昨今における日本の離婚率は、35%前後とされており、3組に1組の夫婦が離婚している計算になります。
そもそも日本人の生涯未婚率も年々上昇を続けており、2020年で男性の約28%、女性の約18%が結婚しないことを考えると、そもそも夫婦という形にも限界があるのかもしれません。
仏教では、夫婦の「あるべき姿」などないというのが、1つの答えです。
この世は諸行無常であり、常なるものはないと説くのが仏教の真理なので、「こうあるべき」とか、「そうでなければいけない」といった先入観や固定概念を否定します。