禅イメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

若い世代を中心に、無駄を省き効率よく成果を出す「コスパ」「タイパ」思考が浸透しつつある。そんな現代の新ルールの中、仏教では一見不要に感じることこそが人生を豊かにすると説いている。何でもすぐに手に入る世の中で、あえて遠回りすることの面白さを仏教から学ぶ。※本稿は、泰丘良玄『しんどさの癒やし方:不安になったらいちばん最初に読む本』(アルソス)の一部を抜粋・編集したものです。

コスパやタイパでは計れない
「無駄なこと」が人生を面白くする

 私も働くことは、あまり好きではありません。

 できることなら、働かずして好きなことだけやって生きていきたい。誰しも人生に一度は、思い描くことがあるのではないでしょうか。

 同時に「無駄なことが人生を面白くする」という言葉も、私はとても好きです。

 コスパ(コストパフォーマンス)やタイパ(タイムパフォーマンス)など、何かと効率を求めたり、結果が出なければ意味がないという考え方もありますが、意味を見出せないことこそが、実は人生においては大切なように思います。

 たとえば、ラーメン屋さんの前で、ラーメンを食べるために並んでいるとき。タイムパフォーマンスはとても悪く、空いているお店で食事を済ませたほうが効率的ですし、時間も有効に使えます。

 けれども、待てば待っただけ、その一杯のラーメンをとても美味しく感じることができます。

 待ってお腹をより空かせることで、より幸福感を味わうことができます。

 一見無駄に見えることや、効率が悪かったり、結果が出ないようなことであっても、実はそれが幸福度を上げるということはよくあることです。