
「なりたい姿が見えない」と悩むのは、決してあなただけではない。そんなときこそ大切にしたいのが、「どんな自分でありたいか」という視点。キャリアの幸福感は、年収や肩書きといった「なりたい姿」ではなく、価値観に根ざした「ありたい姿」によって生まれるからだ。キャリア開発の専門家が、「ありたい姿」を見つける5つの質問を投げかける。※本稿は、森数美保『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略 やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を抜粋・編集したものです。
「なりたい姿」と「ありたい姿」を
混同せずに区別して捉え直す
「ありたい姿」という言葉を聞くと、どのようなイメージが浮かびますか?
正直に言うと、私はこの言葉が少し苦手でした。理想の自分や成功した未来の自分を描くキラキラとしたイメージがあり、自分には遠い世界のように感じていたのです。「やりたいこと」が明確にある人じゃないと、この「ありたい姿」を描けないのではないかとさえ思っていました。
私自身が「ありたい姿」について改めて考え始めたのは、ある一言がきっかけでした。「あなたは自分のことを“Willなし人間”(編集部注/長期的な目標やビジョンを持たず、目の前のタスクに全力で取り組む人のこと)と言っているけれど、実はWillがあるよね。むしろ“Willあり人間”だよ」と言われたのです。
自分の認識とは大きく異なるこの言葉を受けて、なぜそう言われるのかを考え始めました。
最終的に、「大切にしている価値観のことを、Willと捉えられているのではないか」と思い至りました。