「のび太のおばあちゃん」はドラえもんで一番幸せかもしれない写真はイメージです Photo:PIXTA

高齢者がオレオレ詐欺の被害に遭うのは、認知能力の問題ではなく、「ヒトを疑うことをしないで助けようとしてしまう」という心理的な特性が関係している。なぜ人は高齢になると利他的・自己肯定的な心理状態になるのか。そこに、究極の幸せのヒントが隠されていた。※本稿は、小林武彦『なぜヒトだけが幸せになれないのか』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

つらい青年~中年期を越えると
静かな幸せが待っている

 変わりゆく環境に適応できずにもがいている状態は、個人レベルで見て、一体いつまで続くのでしょうか?一生続くのでしょうか?

 子供の頃は、生存本能の塊のようなものです。自身の身体的成長により日々行動の幅が広がり、加えて親や周りのヒトにも守ってもらい、毎日が幸せです。通常、深く悩むことはあまりありません。

 ところが思春期あたりから「理想の自分」を探し始め、本能と理性の葛藤が始まります。生きるモチベーションが生存本能だけではだんだんもたなくなり、自分の特別な幸せを探しに行くようになるのです。

 多くの人では夢という人生のモチベーションが現れ、悩みながらも成長し、思春期を乗り切ります。

 思春期を過ぎ、青年期(15~24歳)から壮年・中年期(25~64歳)頃までが実は一番大変で、上がり下がりの幅が大きい時期です。同世代との差も広がり、さらに中年期には健康も怪しくなり死との距離を意識し始めます。この時期を、友人や家族と助け合いながら、なんとか乗り切っていただきたいです。

 そして高年・老年期を迎えます。いい知らせです。ここには「老年的超越」というゴールが待っています。