超越するまでの間、「死からの距離感」を保ち続けるために個人でできることの1つは、何か好きなことに没頭し、あるいは成長や目標のために努力し、ベターを目指すことでしょう。
つまり、遺伝子に忠実に生きることです。ただしそのようにして得られる「幸福」感は、達成されるとすぐに消えてしまう危ういものです。そのあとまた次の何かを目指さないといけません。忙しいですね。実際に日々忙しいと感じているヒトは、これを繰り返していることが多いです。
そこで、せっかくならもっと大きな達成しにくい目標を目指せば、その間の「幸せ」は維持されるということになります。達成するまでは「死ねない」と思い、「死からの距離感」は大きくなるのです。
夢や目標を持っていると
死の恐怖から逃れられる
何を大きな目標にするかはヒトそれぞれに違います。死からの距離感を積極的に増やそうとするには、もちろん没頭できる好きなことで目標を持つのがいいでしょう。これは夢と言っていいと思います。
実際に夢や目標に向かって努力しているヒトは、「幸福」感に満ちています。
個人に限らず人類は、大昔から好奇心を掻き立てる大きな「夢」を持っているように思います。
具体的には次の3つの夢を漠然と抱き続け、知らない間に死からの距離感を広げてきたのかもしれません。自分の死などちっぽけに思えるくらい壮大な夢です。
1つ目は、「宇宙の解明」です。
灯りのない原始の時代、夜空を見上げればそこには満天の星がありました。宇宙には死後の世界があり、神が宿り、未知なるものの全ての答えがあると想像していたのは、ごく自然なことだと思います。
地球上を制覇した「移動するサルであるヒト」の次なる移動目標は、まだ見ぬ宇宙への旅立ちです。
現在、宇宙旅行を具体的に目論む人たちは、将来の核戦争や環境汚染、隕石(いんせき)の衝突などで地球に住めなくなったときのためとかなんとか理由を言いますが、それらはおそらく建て前で、本当は冒険心と好奇心なんだと思います。
もし地球の危機を真剣に心配するなら、まずは環境問題や紛争の解決に注力すべきでしょう。