人類の生存の危機になるような大きな隕石の衝突も、数千万年に一度あるかないかの確率だと思います。宇宙を目指すヒトの本当の理由は、未知なるものへの畏敬(いけい)の念からです。それでいいのです。

賢くなりたい気持ちは
かつて幸せにつながっていた

 2つ目の夢は「賢くなりたい」ということだと思います。

 裸のサルであるヒトは、集団での協力と知性が最大の生きる術でした。また、コミュニティの中でいい評価を得るために、他のヒトよりいい仕事をしたいと、一生懸命いろんなことを考えたと思います。

 その延長に、より賢くなりたいという願望が出てきたのは当然のことです。どうやったらうまく魚が獲れるのか、みたいな改善策をいつも考えていたのです。

 そのために勉強したり、研究したり、祈ったり、あるいは、自身の成長のために努力します。その結果、現在の文明を築き上げることができました。

 ただ残念なことに、元々ヒトがテクノロジーの使い方が下手くそであることに加えて、現代ではテクノロジーの進歩が格段に速く、それをコントロールする側のヒトの能力が、限界に達して追いつけない状態です。

 そこで最近は、コンピュータとヒトの脳を物理的につなぐことでヒトの能力を高めるという研究もなされています。SFの世界ですね。イーロン・マスク氏はこの研究のためにニューラリンクという会社を設立し、積極的に投資を行っています。

 別の賢くなる方法としては、ヒトの脳の改良はせず、代わりに「人工知能」という道具を作り出し、ヒトの能力では出せない答えを出してもらう方向にも力が注がれています。

 ご存じのようにChatGPTを始め多くの生成AIの開発競争が進んでおり、近い将来、おそらく10年以内には人と同じように思考でき、しかも人の能力の及ばないレベルの解答が出せるキレッキレな「ドラえもん」のようなAIができてくるでしょう。

 これはヒト自身が賢くなることとは少し違いますが、賢いAIをうまく活用し、「幸せ」に結びつけられれば結構な話です。

「不老不死」の妄想は
幸せを増やしてくれる

 3つ目の人類の夢は、「不老不死」です。

 まさに直接的に死からの距離を最大に延ばす方法ですね。