閉店率61%、1年で300万以上の飲食店が閉店
当然のことながら、中国の飲食業界の冬は今になって始まったことではない。コロナ禍で、中国は世界でもっとも厳しい感染防止の措置を講じた。最大の経済都市・上海は3カ月間のロックダウンを実施した。ロックダウンの間、飲食店は売り上げがゼロに近い状況でありながら、賃料や人件費などのコストを支払い続けた。
同じ頃、日本では、外食産業の倒産や大量失業を防ぐためにさまざまな補助金・支援策を実施したが、中国では政府からの補助金の支給が一切なかった。コロナが終われば経済活動が戻り消費は回復するだろうと誰もが期待していたが、不動産の不況などで経済は低迷し続けている。
若年層の高失業率や不透明な経済見通しにより、人々は収入増が見込めず、極力支出を抑える傾向にある。「消費降級」(消費のグレードダウン)が流行語となり、社会現象となっている。さらに、中国のフードデリバリーは大変便利で普及している。配達料が安く、スピードが速い。その利便性が強い半面、実店舗にとっては客足の減少と利益圧迫につながり、廃業に追い込まれる店が多い。
投資家向けの総合金融サービスプラットフォーム雪球網(xueqiu.com)の統計によると、昨年1年間で、300万以上の飲食店が閉店し、閉店率は61%となり、過去10年間で最高記録を更新したという。
「禁酒令」の衝撃
こうした厳しい状況の中で、2025年5月2日、中国共産党中央と国務院は新たに改訂された「党政機関厳格な節約・浪費反対条例」(禁酒令)に9つの規定を盛り込んだ。
主な内容は以下の通りだ。
全面禁酒:すべての公務接待(朝・昼・夕食を含む)でいかなる種類の酒類も提供禁止。白酒・ワイン・ビール・アルコール飲料を含む。外国との接待や投資誘致など特別な場合は、「一件ごとに審査・承認」を行い、届け出を義務付け。勤務時間外で自宅での会食での飲酒も規則違反とする。
時間の制限:平日の全時間帯で禁酒(昼休み・残業を含む)。
適用対象:党や政府機関、政府関連の外郭団体、国有企業、金融機関の公職者を対象とする。
監督と処罰:「抜き打ち検査+市民からの通報+ビッグデータ監視」を活用。違反者は停職・懲戒処分の対象となり、同時に所属機関の責任者も連座で追及。飲酒していなくても同席して止めなかった場合、「連帯責任」を追及し処分する。
時間の制限:平日の全時間帯で禁酒(昼休み・残業を含む)。
適用対象:党や政府機関、政府関連の外郭団体、国有企業、金融機関の公職者を対象とする。
監督と処罰:「抜き打ち検査+市民からの通報+ビッグデータ監視」を活用。違反者は停職・懲戒処分の対象となり、同時に所属機関の責任者も連座で追及。飲酒していなくても同席して止めなかった場合、「連帯責任」を追及し処分する。