理不尽に耐えても……飲食業界の生き残り戦略

 苦境に陥り、抜け出せない飲食業界。レストランは、お客に来てもらいたいがために、さまざまな「理不尽」な要求を呑んでいる。

 以前は、「開瓶費」(ボトルを開く手数料)という一定の手数料を取ることで、お酒などの持ち込みが容認されていた。今は無料だ。茶葉やお酒など、すべて持ち込みが容認され、さらに、お茶を入れるポットと温めるコンロまで提供している。

 ワインを持ち込むならワイングラスなどお酒用の食器も無料で提供する。ある時、レストランの隣のテーブルにいた約10人ぐらいの団体客が2ケースのビールを持ち込んできた光景を目にした時には、さすがに驚いた。

持ち込みのお茶を飲むために、ポットやコンロを提供持ち込みのお茶を飲むために、ポットやコンロを提供(筆者撮影)
隣のテーブルの団体客が持ち込んだビール2ケース隣のテーブルの団体客が持ち込んだビール2ケース(筆者撮影)

 ある日、筆者が北京にある上海料理のレストランでご馳走になった時のできごとだ。同席にいた数名の女性友人が、「どうしてもミルクティーを飲みたくなった」「辛い四川料理が食べたい」などと言い出した。そして、皆がスマートフォンを出して、デリバリー配達の注文をし始めたのだ。30分もしないうちに、これらの飲み物や料理が無事に到着した。上海料理のレストランで、別のレストランの四川料理を食べるという不思議な体験となった。