そうやって個人の行動履歴を分析し、最適なコンテンツが提供されるのと同時に、さまざまな形でわたしたちに最適化された広告が届けられます。
広告が刺さってしまうのは
行動履歴を見透かされているから
コンテンツやアプリ上に設けられたスペースに掲出されるディスプレイ広告や、検索結果に紐づいたリスティング広告(検索連動型広告)、一度訪れたサイトに紐づいたリターゲティング広告などはわかりやすい例でしょう。
YouTuberやインスタグラマーといったインフルエンサーが紹介する商品やサービスに、思わず興味を持ってしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。実は、こうした投稿の多くも広告の一種です。
ふだんは広告に対して煩わしさを感じている人でも、「好きなインフルエンサーが紹介しているから」という理由で、好意的に受け止めてしまうことがあります。
そもそも、わたしたちがそのインフルエンサーの存在を知ることができたのも、テック企業がわたしたちの行動履歴や嗜好データを分析し、関心が高そうなアカウントやコンテンツをレコメンド(推薦)してくれているからです。
つまり、自分自身の情報に基づいて、強く関心を引くコンテンツや広告が配信され、わたしたちはそれらに長い時間を費やします。
その結果、おのずと商品やサービスの購入につながっていく――これが、テック企業によるアテンションエコノミーの仕組みなのです。
個人に最適化された広告が
Googleに莫大な利益をもたらす
テック企業にとって大きな収益の柱の1つが、広告収入です。
わたしたちがインターネット上のあらゆるサービスやコンテンツを無料、あるいは安価で利用できるのは、わたしたち自身の情報をテック企業に提供し、「広告を見る」時間を割いているからにほかなりません。
広告収入モデルで圧倒的なシェアを占めているのがGoogleです。Googleは2023年のデジタル広告市場の約4割を占めており、2位以下のMeta、Amazon、TikTokなど4社の売上高を合計してもGoogleに及びません。
Googleはユーザーの検索履歴やクリック履歴、位置情報などさまざまな行動データを収集・分析し、独自のアルゴリズムによってユーザーの興味関心に応じた広告を掲出します。そのため、広告主は自社商品を適切なターゲットへ訴求することができるのです。