Netflixが「次のエピソード」を自動再生してくる理由写真はイメージです Photo:PIXTA

いまや生活必需品となっているスマホ。しかしこの便利な端末には、ユーザーの思考を奪う様々な仕掛けが施されているのだ。ホーム画面がデフォルト画面でない人は、もしかしたら既にスマホに脳を乗っ取られているかもしれない。現代の病理、スマホ依存症はどうやって作られるのか?本稿はキャサリン・プライス著、笹田もと子訳『スマホ断ち 30日でスマホ依存から抜け出す方法』の一部を抜粋・編集したものです。

悪魔の発明“いいね”機能に
踊らされるSNSユーザーたち

 人間は社会的な生き物であり、居場所があるという実感をなんとかして得たいと望むものだ。

 ほんの少しまえまでは、そうした確認(あるいは、拒否)は現実世界において、人から知らされるものだった。私がそれを体験したのは中学生のとき。友達だと思っていた人たちが集まってクラスメイトの人気度を10段階で採点していた。私についた点数はマイナス3。

 念のために伝えておくと、本来、10段階評価にマイナスの数は含まれない。それはともかく、ここで重要なのは、私に対するこの判決が比較的ひと目の少ない場所で、面と向かって言い渡されたという点だ。一方で現在では、評価はオンラインにアップされ、みんなにさらされる――そのうえ、それに賛同するかの投票までおこなわれる。ウーバーの運転手に対する評価であれ、SNSの“いいね”であれ、人気アプリの大半が、ユーザーにたがいを評価しあうよう仕向けている。

 こうした機能がどのアプリにも存在するのは偶然ではない。プロダクトデザイナーたちは、人に認められたいという人間の根源的な欲求を心得ていて、評価の軸を増やせば、私たちがその結果を確認せずにはいられないと知っているのだ。