インフルエンサーがさりげなくPRタグを付けて商品やサービスを紹介したり、Instagramから直接アプリ内で商品を購入できるようになっていたり、検索結果に各ECサイトの商品と価格がわかりやすく表示されたりしているのも、実は広告の一種です。SNSで流れてきたAmazonや楽天など各ECサイトのリンクが、実はアフィリエイトプログラムの一環だったことも多いでしょう。

 また、広告とわかっていても、お気に入りのYouTuberが「今回の動画では○○がスポンサーになってくれました!」と紹介すれば、ユーザーは「YouTuberを応援してくれている」と広告主に好感を持ってくれるかもしれません。

 嫌われ者になりがちな広告をできる限り“広告感”なく発信することで、広告収入をスケールさせています。

 広告収入モデルは、今まさに変革期に突入しています。

 個人情報保護の観点から、同意なしでの行動履歴データの収集が各国で規制されつつある影響で、Googleが「サードパーティクッキー」、つまり複数サイトにまたがる行動履歴データの収集分析モデルの廃止を発表したものの、その後撤回。ブラウザであるGoogle Chromeでプライバシー制御を行うとしています。

インフルエンサーの「おすすめ」、本当に信じていい?無意識に買わされる、現代の広告戦略『DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方 テクノロジーとの「健全な距離感」を見つける』(ピョートル・フェリクス・グジバチ、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 また、Googleが検索エンジンのアルゴリズムのアップデートを行うたびにコンテンツへのアクセス数が変化すると、広告収入にも影響があります。

 そうした「プラットフォームに左右される」状況に対応すべく、メンバーシップ(会員制)を導入し、月額課金モデルを採用するSNSやコンテンツ、サービスが増えてきています。X(旧Twitter)の有料プランなどは、その代表といえます。

「情報が何もかもフリー(無料)」だった時代は変わりつつあります。テック企業は広告だけでなくさまざまな戦略やテクノロジーを駆使し、あの手この手で利益の最大化に取り組んでいるのです。