栄華を極めたK-1とPRIDE

 格闘技自体の盛衰もある。特に華やかだったのは2000年前後のK-1とPRIDEであろうか。この頃は大会の様子がテレビのゴールデンタイムや年末特番などの枠で超キラーコンテンツとして放送されていた。たしかにあの頃はものすごい数の人がそれらを見ていて、大会ごとに日本中を巻き込む大きな祭りが行われているかのようであった。

 K-1は立ち技主体のルールで見ていてわかりやすかった。パンチのみのボクシングにキックが加わっただけの形で素人にも理解しやすかったのである。

 ルールのわかりやすさは試合展開のわかりやすさにもつながった。打撃がどれだけ相手をとらえるかが勝敗の分かれ目であり、人気のあった重量級は一発が重いから一撃KOの決着も多く、見ごたえがあった。

 また選手ごとの特徴も、これはテレビの手腕にもよるものだと思うが、非常にわかりやすい形でフィーチャーされていた。たとえば「K-1四天王」と呼ばれる有名な4選手は、かかと落としが必殺技のアンディ・フグ、ハイキックのピーター・アーツ、「豪腕」マイク・ベルナルド、「戦う精密機械」アーネスト・ホーストである。

 一定の年齢以上ならその名を聞いて懐かしい気持ちになったご同輩も多いのではあるまいか。K-1には他にもスター選手が多数いたし、極真空手など日本発祥の武術出身の選手や、日本人選手の活躍もシーンを盛りあげた。

 昨今の対戦型格闘ゲーム(格ゲー)のはしりとなった『スト2』は1991年にアーケードゲームとして稼働を始めた。この頃から格ゲーがものすごい盛り上がって現在に至るが、格ゲーの魅力のひとつはデフォルメされたキャラにある。

 今思い返すとK-1選手の見せ方は格ゲーのキャラに通ずるものがあった。難しいことやちょっと奥まった要素(あの選手は試合運びがうまいだとか、スタミナがあるだとか)はわからない素人でも、一見してそれとわかる必殺技やストロングポイントをテレビがフィーチャーして紹介してくれるので、試合の見どころや推しの選手を見つけるのが容易だったのである。