東京科学大生の生活と性格
世間的にはオタク生息地的なイメージで見られがちだが、実際にはそうでもない。たしかに、見るからにオタク特有の濃ゆいオーラをにじませている人もいないではないが、それは2割程度。その他は意外と爽やか系で、くったくのない笑顔を持つ穏やかな人たち。
ただ、頭の中身は理論派が多く、自分の専門的知識に基づいたうえで話をするので、気軽な雑談を交わしにくいという特徴はある。
頭が良くて優秀なのに、やたら謙虚な学生が目につくのは、東大を狙っていたのに共通テストで足切りされて東工大に来た学生が多いからかもしれない。それにしても、「ぼくらは交友関係が狭いんです」「対人関係に積極性がない」「他大のように、なんとなくつるんで盛り上がるということがない」と必要以上に卑屈な声が多い。
「彼女いる率は1~2割」「東工大は合コンしたくない大学1位だそうです」と、自虐ネタで盛り上がる。インカレサークルが唯一の恋愛の場だ。
サークル加入率は5~6割と低くはないが、それも“サークルに入らないと友達ができない”という消極性の裏返しかもしれない。サークル棟は全室エアコン付きで居心地が良く、用もないのにくつろいでいる人もいる。「鳥人間コンテスト」で優勝経験があるモノづくりサークル「Meister」は有名。
ファッションではパーカーやチェックシャツが目立つが、ごく普通の清潔感ある青年が多い。一方、冬でも半パンにサンダルの人や、髪を染めたバンドマン風の人なども見かける。女子は派手さはないが、けっこうかわいい子が多い。3~4人で固まって授業を受け、休み時間はお菓子をつまみながらトークに花を咲かせている。そして「女子が少なくても全然モテないですよ」(工学院生)と謙虚に答えるのだった。
進路は旧東工大の約9割が大学院へ進学。修士課程を修了して就職するのは8割ほどで、その他は博士課程進学など。
修士を出れば、受け入れてくれるのは超がつく一流どころの企業ばかりだ。製造業をはじめ、メガバンクやシンクタンク系企業、情報通信業、サービス業まで、先輩たちの就職先には有名企業の名がズラリ。
理系的な思考力と情報関連の知識をもった東工大生は、あらゆるところから歓迎される。「有名企業を狙うと個人の実力差で勝敗が分かれるが、どう転んでも職には就ける」「多くの大手メーカーやインフラ企業の技術職で大学推薦枠が用意されていて、専攻によっては半数の学生がこの推薦枠で内定を得ている」「院卒なら就職に関しては無敵。
『採用予定○人』とあっても、これとは別枠で、東大および東工大専用の募集枠が存在するらしい」と、みんなおっとり構えている。