取り入れてほしい対策と
オススメの気分転換

 誰しも発症のリスクがある夏のうつ。今年も暑さが厳しいが、予防策はあるのだろうか?

「まずは“環境の調整”に気をつけてみてください。なかでも大切なのは睡眠環境。寝ている間というのは、唯一脳が休まる時間です。夜眠る時は我慢せず、きちんとエアコンを使用してください。エアコンを使わず眠りにつくと、当然寝汗をかきます。発汗は交感神経が作用して生じるものなので、不眠だけではなく過覚醒につながってしまうリスクがあるんです」

 そして、コーヒーやエナジードリンクなどに含まれる「カフェイン」にも要注意だという。特に過覚醒の症状がある人は、交感神経を高める作用があるカフェインは絶対に摂らないでほしい、と立川先生は言う。

 同時に「お酒」の摂取にも注意が必要だ。

「ストレス解消のつもりでお酒を飲む人は、やはり飲みすぎる傾向にあります。一定以上のお酒を摂取すると、体内でアルコールの分解・代謝が間に合わずに『アルデヒド(アセトアルデヒド)』という交感神経を高める作用のある物質で止まってしまいます。アルデヒドにより交感神経が優位になれば、脳は覚醒状態となる。疲労が取れず、うまく眠れなくなるので、ストレス発散には逆効果です」

 そして、脳の疲労を起こしやすい人の共通点は「気分転換ができない」こと。交感神経の高ぶりが振り切れないよう、やはり「きちんと休むこと」が大切なのだという。立川氏にオススメの気分転換についても聞いてみた。

「気分転換としてオススメなのは、行き慣れた場所へのお散歩や、普段から行っている軽いストレッチなどです。脳が疲れている時に旅行や新しい趣味などに挑戦してしまうと、変化による刺激で交感神経が高まってしまう。なので、とにかく慣れていることで気分転換をするのが一番です。運動も、普段からその習慣がある人なら良いですが、慣れていない人が新しく始めるとストレスとなってしまいます。自分に合ったリラックス方法を見つけてほしいですね」

 とにかく大切なのは、交感神経が高まったら必ず抑えるための時間を作ること。毎日の生活の中でオンとオフを切り替えていきたいものだ。