息子いわく、「日本人じゃない感じの人が5個買って、外に出て、また並びに戻ってきた」「もうマックの袋を持っているのに、並んでいる人もいた」……。恐らく後者は、他の店で買ったハッピーセットを片手に並んでいるのだろう。とにかく混雑していたので、息子は2回も並ぶ気にはならなかったという。
ここで今回のマクドナルドの事前準備を評価するならば、ハッピーセットの購入を1人5セットに制限したことだ。前回のちいかわ騒動を踏まえれば1セットでもいい気がするが、子どもが2人、3人いる家庭も当然ある。本来のターゲット層へ配慮がなければ本末転倒だ。
また、前回よりも入念に、転売目的の購入を控えるように注意喚起をしていた。さらに一歩前進したのが、メルカリと連携したことだ。両者で情報共有し、利用規約に反している悪質な出品(つまり転売)を削除すると7日時点で宣言していた。
しかし結果的には、メルカリ上で大量の転売が確認された。そもそも両社の提携内容も、対処療法であって根本解決にはならない。
SDGsだCSRだというわりに
フードロスに対する本気度が見られない
ちなみに私は、転売行為そのものを真っ向否定するわけではない。転売は法律で禁じられていない。継続的な営利行為であれば古物商の許可を取得する必要があるものの、そうでなければ必要ない。さまざまな意見が出ているが、高額で転売するのがモラルに反するというなら、プラス1%ならOKとか10%はNGとかの基準が必要だと思う。とにかく転売は全てダメだと主張するならば、独占禁止法の改正を訴えるべきだろう。
一方、私がマクドナルドに対して強烈な違和感を抱く点がある。同社はSDGs(持続可能な開発目標)やCSR(企業の社会的責任)に熱心な態度を取ってきた。フードロスへの取り組みについても当然、熱心なはずだ。ちいかわの前例があるのだから、ポケモンカードが付いたハッピーセットを発売したら、ハンバーガーを食べずにカードだけを抜く転売ヤーが殺到することは十分予想できたはずだ。
食べものという人の命を支えるものが無下にされ、食材、調理のためのエネルギー、人の手、ありとあらゆるものがムダになる――。こんなもったいないことが、あるだろうか。マクドナルドの言動不一致は、企業の信頼度を著しく損ねる行為だと思う。