やりがい搾取を見抜く
5つのポイント
そこで、やりがい搾取に当たるかどうかを見極めるセルフチェックポイントを5つご紹介します。定期的に自問してみることで、自分の働き方が健全な状態にあるかを確認してみて下さい。
(1)やりがいと待遇のバランスは取れているか
これは、最初に確認すべき事柄です。「好きだからできる」「成長できるから我慢できる」と考えるのは自然ですが、それが低賃金や過剰労働の正当化になっていないかを冷静に確認する必要があります。
具体的には、やりがいと引き換えに失っているものを見直しましょう。例えば、「お客様のため」の深夜残業が続く場合、自分の時間、健康、プライベートの充実などがどのくらい奪われているかを考えます。
本来であれば大切にすべき要素を犠牲にしすぎてはいないでしょうか。やりがいに対して失うものが大きすぎるなら、それはやりがい搾取の可能性があります。
(2)やりがいを自分の言葉で語れるか
上司から言われたままではなく、自分が本当に納得しているかどうかが重要な判断基準になります。「あなたにとって、この仕事の意味は何ですか」「何のためにやっているのですか」と第三者に聞かれたとき、ホームページに書かれた企業理念のような理由しか思い浮かばないなら要注意です。
「サステナブルな社会のために」という目的で仕事をしているなら、本当にその理念を自分の業務に結びつけたうえで働いているのか、それとも上司や会社から与えられた大義名分をそのまま受け入れているだけなのかを自問してみてください。
健全な意味づけができている場合、その仕事が自分にとってどのような価値があり、どのような成長をもたらしてくれるのかを、具体的かつ実感を込めて説明できるはずです。
(3)無理して「好き」を演じていないか
3つ目は、自分の本当の気持ちに正直になれているかどうか。「この仕事が好き」と言わないと認めてもらえない環境や、そう言わないと評価されないというプレッシャーがある場合、知らず知らずのうちに自己欺瞞に陥っている可能性があります。
「ちょっと疲れています」「今、結構つらいです」と言える余地があるでしょうか。特に若手社員の場合、職場で認められたいという気持ちから、本当の感情を押し殺してしまいがちですが、そのような状態が続くと、自分でも何が本当にやりたいことなのか分からなくなってしまいます。