新NISAで「お金に働いてもらう」時代へ
3つの追い風の中でも、私たち個人投資家にとって最も強力な武器となるのが2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)です。これは、まさに政府が「貯蓄から投資へ」の流れを本気で後押ししようとしている証拠と言えるでしょう。
これまでのNISAと比べて、非課税で投資できる上限額が大幅に拡大され、制度も恒久化されました。これは「期間限定のお祭り」ではなく、「これからの当たり前」として、長期的な資産形成を国が応援してくれているということです。
「投資は怖い」「難しそう」と感じるかもしれません。しかし、眠らせている預貯金がインフレで実質的に目減りしていくリスクを考えれば、何もしないことのリスクもまた大きいのです。
新NISAは、その第一歩を踏み出すための絶好の機会です。まずは少額からでも、応援したい企業や、株主への還元意欲が高い高配当株などに投資し、「お金に働いてもらう」という新しい感覚を掴んでみてはいかがでしょうか。
「PBR1倍割れ」は割安株の宝庫
もう一つの大きなチャンスが、東証が主導する「PBR1倍割れ」の是正です。少し難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、これは個人投資家にとって「割安なお宝銘柄」を見つけるための大きなヒントになります。
PBRが1倍を割れているということは、極端に言えば「会社が解散した時にもらえる価値よりも、市場での株価が安い」という状態です。つまり、企業が持つ本来の価値が、まだ株価に十分に反映されていない可能性があるのです。
こうした企業が東証からの要請を受けて、増配や自社株買いといった株主還元策を強化したり、不採算事業から撤退して収益力を高めたりする動きが活発になっています。これは、株価の上昇に直結する可能性を秘めた、非常にポジティブな変化です。
これまで市場で正当に評価されてこなかった優良企業が、まさに今、見直される局面に来ています。スクリーニング機能などを活用して、PBRが1倍を割り込んでいる銘柄の中から、将来性のある企業を探し出すことは、大きなリターンにつながるかもしれません。
未来へつなぐ、賢い一歩を
外国人投資家が日本市場に注目し、国の制度が個人の資産形成を後押し、そして企業自身が変わろうとしている。これだけの好条件が揃うことは、なかなかありません。
眠っているあなたのお金を、これからの日本経済を支える成長企業に投じることは、社会貢献にもつながる意義深い活動です。
大切なのは、長期的な視点を持つこと。日々の株価の動きに一喜一憂するのではなく、企業の成長をじっくりと応援する気持ちで、未来への賢い一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
※本稿は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。












