「せっかく採用した新人が、なかなか組織になじんでくれない」
「すぐに辞めてしまい、チームの活性化につながらない」と悩むチームリーダーの方へ。会社のビジョンや仕事のやり方、カルチャーを丁寧に教えているのに、なぜか手応えがないという歯がゆさを生んでいます。
でも、もしかしたら、そのアプローチ自体が、新人を疲弊させているのかもしれません。
参考にしたいのが、世界中で行われた経営学、心理学、経済学等の研究成果をもとに、グロービス経営大学院の教授陣が協力して書いたチーム・ウェルビーイングの教科書。「チームリーダーにできるちょっとしたのコツ」をまとめた一冊『職場を上手にモチベートする科学的方法――無理なくやる気を引き出せる26のスキル』。
今回は、同書から特別に抜粋・再編集し、限られた権限や予算の中でも無理なく、新人の「自分らしさ」を引き出し、チームのパフォーマンスを高める具体的な方法を紹介します。

人が組織になじんでくれない
IT企業に勤務し、今はチームリーダーを務めている斉藤さんの悩みは、せっかく採用した新人が組織になじめず、なかなか定着してくれないことです。
転職率が高い業界とはいえ、新人が組織になじんでくれないことは痛手です。
斉藤さんは、自分のチームに入ってくる新人が早く組織になじめるように、自社のビジョンや価値観、組織のカルチャーなどについて、ていねいに説明するようにしています。しかし、うまく伝わっていないのか、手応えを感じられません。
入社した後しばらくは、新卒入社か中途採用かに関係なく、誰もが不安を感じるものです。「自分はこの組織になじめるだろうか」「組織のやり方に早くキャッチアップしないと」と考え、不慣れな環境になんとかなじもうと努力します。
チームリーダーは、新人が会社のビジョンや価値観、組織の方向性を理解してなじめるように、懸命にサポートします。しかし、斉藤さんが歯がゆい思いをしているように、うまくなじんでくれるとはかぎりません。
このようなとき、チームリーダーにはどのような手立てが考えられるでしょうか。