年を取って怪我しやすくなるのは
筋肉に余計な力が入っているから
さて第1回から第4回まで「目的別」のトレーニングを述べながらも、その根底には一貫して「体の力を抜く」動作を紹介してきました。実は年を取って怪我(けが)をしやすくなるのは、筋力が衰えるからではなく、常に筋肉に余計な力が入るからだといわれています。
人の体はどこかを曲げるとき、「伸びる筋肉」と「縮む筋肉」が必ずあります。ところが体に常に力が入っていると、どちらの筋肉もガチガチに固まって体の動きが悪くなってしまいます。重心が定まらず、バランスも悪くなるでしょう。
ではどうすれば若々しい体や動きを保てるのでしょうか。
「大腰筋」を鍛えると
パワーに頼らず効率的に動ける
もともと体の一番深いところにある筋肉「大腰筋」が発達しているアフリカ系や欧米人は、ウエートトレーニングなどで表面の筋肉を増やして力を付けることが有効かもしれません。
しかし欧米人らに比べて大腰筋が細い日本人は、まずは大腰筋、つまり内側の筋肉から鍛えるほうが効果的なのです。
それには負荷をかけるのではなく、筋肉をゆるめてリラックスさせること。その上で、背骨や骨盤、肩甲骨を動かす動作が有効です。背骨から体を動かすと血流が良くなって、次第に大腰筋も太くなります。
大腰筋を使えるようになると、体全体が柔らかく動くようになり、パワーに頼らなくても効率的な良い動きができるようになります。心身ともにあなたの本来の力が発揮できるのです。