一生懸命に考えたのに、思ったように伝わらない」「焦りと不安から自分でも何を話しているかわからなくなってしまう」…。言っていることは同じなのに、伝え方ひとつで「なんでこんなに差がつくんだろうと自信を失ったとき、どうすればいいのでしょうか?
コンサルタントとして活躍し、ベストセラー著者でもある田中耕比古氏の著書『コンサルだけが知っている 伝え方のテンプレ』から、優秀なコンサルが実践する「誰にでもできるコミュニケーション術」を本記事で紹介します。

「本当に言語化がうまい人」が使っている、頭がよくなる「型」とは?Photo: Adobe Stock

考えたことを「話すための形」に整える

「言語化」と聞くと、何を想像しますか?

頭に浮かんだイメージを言葉で表現すること、と考える人も多いかもしれません。

しかし、それでは、素材をそのまま皿に載せて出しているだけです。おいしい料理になっていません。

本当に言語化がうまい人は、自分の中にある曖昧な思考・考えを一度分解し、構造として整えてから口に出しています。

言語化とは、思考を「話すための形」にまとめ直すプロセスです。

このまとめ直しには、二つのベクトル、つまり方向性があります。

内向きベクトル:自分の思考を整理する

外向きベクトル:相手の理解に合わせて整理する

この両方の視点を組み合わせて考えることで、言語化の精度をどんどん高めることができるのです。

内向きベクトル:自分の思考を整理する「主観→客観テンプレ」

まずは、内向きのベクトルである、自分自身の考えを整理するアプローチです。

自らの主観的な考えを、客観的に見て整理し直す「主観→客観テンプレ」を紹介します。

考えるという行為は、自分自身と向き合う行為です。

そのため、どこまでいっても「主観」から逃れることはできません。

しかしながら、それだけでは独りよがりで、相手にうまく伝わらない内容になってしまいます。

また、思い込みによる誤った内容も含まれがちです。

そのため、論理的におかしいところがないかを客観的に考えるステップが求められます。

そのために使う「主観→客観テンプレ」のステップは、次の三つです。

ステップ①:主観的に「考えたこと」を書き出す

ステップ②:声に出して読んで、違和感を探す

ステップ③:再構成して、自分の言葉にする